臨床實驗
視束症状の特性とその分類について—特に脱髓疾患群との關係
桑島 治三郞
1
1東北大分院眼科
pp.563-566
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201599
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Ⅰ.視束症状の本來の特長
坐骨神經痛とか顔面神經麻痺などというように,特定の神經の障碍をあらわした病名は必ずしも珍らしくはないがこれらの神經障砥に單獨で「神經炎」だの「神經萎縮」などとよばれるものは餘り見あたらない。たゞヒトの視神經にだけは,これが末梢神經のひとつとして腦神經にぞくするとされていた時代から單獨で「神經炎」や「神經萎縮」とよぶ病氣のあることが知られ今日ではすでに常識酌事項のひとつになつている。
末梢神經に單獨でおこる「神經炎」というものにはそれ自體に問題はあるが,視神經が今日あらゆる點からみて末梢神經ではなく大腦白質の延長であり中枢神經系の一部であることが明らかにされ「視束」の名でよばれるようになつてみると1),「視神經炎」や「視神經萎縮」とよぶものの本來の概念が「腦炎」,「脊髄炎」および「脊髄癆」や腦脊髄の「硬化症」などの概念に相當するということは特に説明をまつまでもなく肯ずかれる2)3)。
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