臨床講義
硬脳膜下血腫に因る鬱血乳頭—X線的診斷
馬詰 嘉吉
1
,
岩田 豊助
2
1東京醫大眼科
2東京醫大外科
pp.274-280
発行日 1953年6月15日
Published Date 1953/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201522
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左右兩眼に鬱血乳頭が見られた場合に,先づ腦腫瘍を考えるのが我々の常識である。鬱血乳頭は腦腫瘍の外に,腦膿瘍,腦梅毒,腦水腫等の腦壓亢進に因る場合と,副鼻腔の炎症が眼窩に波及した場合や,眼窩の腫瘍により視神經が壓迫された場合にも起つて來る。鬱血乳頭の原因をしらべて見ると,60〜70%は腦腫瘍に因るものであり,又腦腫瘍の何%位に鬱血乳頭が見られるかと云うと70〜80%に現われて來る。此の樣に兩者の關係は極めて密接であるから,鬱血乳頭と云えば直ぐ腦腫瘍を連想するのは當然である。
本日述べるものは,兩眼に鬱血乳頭があつて嘔吐,頭痛と云う樣な典型的な症状を具えているので,テッキリ腦腫瘍であると思つたのであるが,既往症や諸検査によつて硬腦膜下血腫に因ると云う事が判り,開頭術によつて全治した症例である。此の席に外科の方からも出席して貰つているので,眼科,外科の兩方面から述べて腦室のX線的所見にも言及して見たいと思う。
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