臨床實驗
水晶體後面に結合組織膜を形成する先天性眼異常(偽膠腫)
岸本 正雄
1
,
森井 正子
1
1京大眼科
pp.1018-1021
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201342
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乳兒又は幼兒で瞳孔領の水晶腿後方に灰白色の反射を示すもので,眞性綱膜膠腫でないものは僞膠腫と總稱されているが,この中にはどの教科書にも記載してある生後幾何もなくして發病した轉移性眼炎に基く狹義の僞膠腫の外に,先天性眼異常として水晶體後方に組織膜形成があり,ために僞膠腫の状を呈するものゝ存することは歐米に於ては古くより多數の記載がある。就中約10年程前から米國に於てかゝる異常を有する未熟兒の發生増加が注目せられ,Terry (1942)が"retrolentalfibroplasia"なる名稱を提唱して以來,本症に關する研究が熱心に行われ,殊にW. C. Owens&E. U. Owens, A. Reese等の努力により,未熟兒に見られる所謂retrolental fibroplasiaは胎生時から既に存在する病變でなく生後3-5週にして發病する進行性病變であることが明になつたが,本症の研究に伴つて,之と類似所見を呈する乳幼兒の表題の如き状態に對する知見が從來に比して一層明確になつた。
我々は先天的に水晶體直後全面に灰白色膜を形成し一見網膜膠腫と紛らわしい状を呈した2例の乳兒に遭遇し,その1例に就ては剖検することをすら得たので紹介する。
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