綜説
イオン療法(Iontophoresis)に就て
鈴木 宜民
1
1千葉大学限科
pp.89-96
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200539
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1.緒言
眼科領域に於ける治療法としてイオン療法が登場してから既に30年余りの年月が流れた.1908年Wirtzが始めて眼科に取り入れて以來本療法に関する研究報告は相次いで爲されて來た.本邦に於ては其の殆ど総べての発表が伊東教授の指導に依つて多数の教室出身者に依つて爲され,又同教授によつて其の用ひ方,適應症に就て再三ならず詳細に発表せられ,吾々は今日迄其の原理と用ひ方に從つて各種の藥物を種々の疾患の治療に用ひて來た.硫酸銅,硫酸亞鉛からサルファ剤,ペニシリンと藥物の近代的進歩と共にイオン療法も亦同じ歩みを続けて今日に及んで來た.今日吾々はサルファ劑,ペニシリンのイオン療法を外來に入院に常時使用して其の偉効を認めておるが故に本療法が更に廣く一般医家に使用される事を願つて巳まない.時もよし本誌編輯子の依頼もあり,私は本誌上を借りてしばらくイオン療法の歴史を回顧して其の業績を今一度見直し,併せて今日吾々が教室に於て常用しておる本法の用ひ方に就て紹介し諸賢の御參考に供したいと思う.
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