私の経驗
裏を見せた網膜剥離
萩原 朗
1
1岡山医大眼科
pp.548-549
発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200499
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東大に居た頃,20歳前後の青年の硝子体内に不思議なものを見た.網膜剥離らしいが一般に見られる夫れと異なり鈍い銀白色に輝く膜で,硝子体内を垂直に走り,眼球運動と共に浮動する.特異なことには,その前面に血管を見出し得ない.増殖性網膜炎の結合組織膜かとも見たが,その色,形が大分異ふ.結局確たる診断を下し得ないで終つた.
其後3ケ月程して岡山へ移つたが,此処で又同樣の患者に遭遇した.患者は17歳の女子.4ケ月前より右眼に飛蚊症を訴え始め,漸次視力が減退して現在に至つた.現在視力は40糎指数である.所が1ケ月前より左眼にも霧視を感ずるやうになつたので,診察を請うた次第であると云う.
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