Ⅱ臨牀實驗
後水晶體繊維増殖症(Terry 1942)(水晶嚢遺殘症)の1例及び本症と先天皺襞状網膜剥離との關係
三井 幸彦
1
,
鎌尾 保
1
1熊本醫大眼科
pp.194-196
発行日 1949年5月15日
Published Date 1949/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200365
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硝子體動脈は胎生期の末期に於て先づ血流が絶え,次いで結締織の索状物と化し,遂に消失するものである.これが生後まで殘存した状態わ硝子體動脈遺殘と呼ばれ,多くは乳頭から硝子體の中に突出する小さな索状體として認められ,または水晶體後極に附着する點状の混濁及びこれから硝子體中に及ぶ小索状體として認められるものである.上乳頭膜と呼ばれるものは前者の不全形であると信ぜられている.
時として硝子體動脹の遺殘が高度に達し,太い索状物として乳頭から水晶體後極まで連續することもあることがしばしば報告されている.而してこの遺殘が高度に達して水晶嚢膜まで遺殘するようになると臨床的には水晶嚢膜の遺殘が最込著しい所見となるので一般に水晶嚢膜遣殘membra-na capsularis lentis persistens, persistence of the vascular sheath of the lensという名稱で呼ばれている.病理組織所見を含めた本例の詳細な所見を最初に報告したのはNettleship1)(1873)で,彼わ僞膠腫と誤認してこの眼球を摘出したのである.
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