〔Ⅱ〕原著及臨牀報告
野球ボールに因る前房出血に就て
田村 茂美
1
1九州帝大眼科
pp.25-27
発行日 1947年4月20日
Published Date 1947/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200171
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野球ボールに因る眼外傷に就ての我國に於ける報告の最初のものは大正13年向井氏であるが,昭和6,7年より戰爭前の昭和11,12年頃迄にはそれが非常に澤山出てゐる。丁度六大學リーグ戰が始り,職業野球團が起つて野球が逐年盛んとなつた時代であつて,青少年のみならず老幼も之れに熱狂し,市でも村でも到る處試合やキヤツチ,ボールが行はれた頃である。野球ボールに因る眼障碍はその程度比較的輕く一過性のものが多い關係上實地醫家は屡々遭遇しながら報告などせず,從つて文獻には其の一少部分のものが出てゐるに過ぎないと思ふ。報告されてゐるものは重症ばかりのやうである。
それ故,今頃野球ボールに因る眼外傷症例などは珍しいものではなく,興味少い事ではある。然しながら終戰後我國では各種スポーツが復活して盛んに行はれ特に野球は往年の隆昌時代の如くならうとしてゐるから,野球に因る眼外傷も急激に増加するに相違ないのである。
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