書評
インターネット時代の専門書 Therapy for ocular angiogenesis:Principals and Practice
坂本 泰二
1
1鹿児島大学・眼科
pp.72-73
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104066
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
数年前の臨床眼科学会総会の特別講演でDoheny眼研究所のRyan教授が,「今は,基礎医学の成果がついに臨床医学の果実を生むに至ったゴールデンエイジにあるといえる」と述べた。これは,基礎研究,臨床応用,産業化,さらには米連邦政府によるレギュレーションなど,過去40年にわたりこの問題に第一線でかかわってきたRyan教授ならではの言葉であり,正鵠を得たものである。ゴールデンエイジに関しては,腫瘍学,外科学など多くの医学領域についても当てはまることであるが,眼科領域は特にそれがいえる。そして,その中心が眼内血管新生ocular angiogenesisである。Angiogenesisは,故Folkman教授が提唱した現象であり,主に腫瘍増殖にかかわるものとして研究された。眼科領域では,糖尿病網膜症などの発症にかかわる因子としてfactor Xが予言されたが,研究の結果,腫瘍血管新生因子と眼内血管増殖因子(factor X)は重なり合うことがわかり,眼内血管新生研究は大いに発展した。そして,血管内皮増殖因子(VEGF)が主要分子であることが解明され,現在の抗VEGF療法の隆盛につながっている。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.