特集 眼科診療:5年前の常識は,現在の非常識!
5 ぶどう膜炎・強膜炎・感染症
スペシャルレクチャー
眼炎症疾患と生物製剤
慶野 博
1
1杏林大学医学部眼科学教室
pp.372-375
発行日 2011年10月30日
Published Date 2011/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103973
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はじめに
Behçet病はぶどう膜炎,口腔内アフタ,皮膚症状,外陰部潰瘍の4つの主症状を特徴とする全身性の難治性炎症性疾患である。これまでBehçet病網膜ぶどう膜炎における炎症発作予防の標準的な治療として,わが国では第一選択薬としてコルヒチンを用い,それでも発作を抑制できない場合はシクロスポリンへの切替え,あるいは追加投与を行ってきた。これらの薬剤は眼発作の予防にある一定の効果を上げてきたものの決定的な治療法とはいえず,より有効な治療薬の登場が待たれていた。そして,2007年1月,Behçet病難治性網膜ぶどう膜炎に対して生物学的製剤である抗ヒト腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)-α抗体製剤インフリキシマブ(レミケード®)が世界に先駆けてわが国において承認された。
本稿では自己免疫疾患領域で現在使用されているTNF-α阻害薬を中心とした生物学的製剤の特徴,Behçet病難治性網膜ぶどう膜炎に対する臨床効果,副作用について紹介する。
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