特集 眼科診療:5年前の常識は,現在の非常識!
3 緑内障
■治療
線維柱帯切開術およびその近縁手術の基本手技とその術後管理
陳 進輝
1
,
新明 康弘
1
1北海道大学大学院医学研究科眼科学分野
pp.221-227
発行日 2011年10月30日
Published Date 2011/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103941
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ここが変わった!
以前の常識
●線維柱帯切開術(トラベクロトミー)は,金属プローブ(トラベクロトーム)を用いて切開する。
●トラベクロトームを使った切開範囲は最大120°までである。
●トラベクロトームを回転させて切開するときには抵抗があり,正しく回転させなければDescemet膜剝離を起こす危険もある。周辺虹彩前癒着があると,更にリスキーとなる。
●トラベクロトミーを行うには,ある程度緑内障手術に習熟する必要がある。
●さらなる眼圧下降を求めるなら,サイヌソトミー(濾過手術の一種)や深層強膜弁切除術などを併用したハイブリッド手術を行う。
●ぶどう膜炎などによる続発緑内障にはあまり有効ではない。
現在の常識
●線維柱帯切開はトラベクトーム(trabectome®)や糸など金属プローブ以外のツールによっても切開できるようになった。
●糸を用いる変法は,360°全周切開はもちろん,180°切開など任意の範囲を切開することが可能である。
●トラベクトーム®やアイ・ステント(iStent®)の登場により,緑内障手術の経験がない術者でも,トラベクロトミーと同様な手術を行うことができるようになった。
●糸を用いた変法では,切開時にまったく抵抗を感じることなく安全に切開でき,たとえ周辺虹彩前癒着があっても可能である。
●全周切開する360°トラベクロトミー変法では,ハイブリッド手術を併用しなくても高い眼圧下降効果が得られ,ぶどう膜炎による続発開放隅角緑内障にも有効である。
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