特集 新しい時代の白内障手術
Ⅰ.感染予防
術後管理
小早川 信一郎
1
1東邦大学大森医療センター眼科
pp.46-50
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103395
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病診連携と周術期管理
近年,厚生労働省の奨励もあり病診連携がより活発となっている。そのためか,ひと昔前よりも術後早期に紹介元や患者の住居近くの診療所へ逆紹介する機会が増えた。かつては最短でも2週間程度は術後の経過観察をしていたが,最近は術後1週間以内に逆紹介を行うケースが多い。なかには,退院後1回も手術施行病院を受診せず,病棟から担当医の紹介状を持って直接,近医を受診する場合もある。
しかし,術後1週間以内にこういった診察施設の移動が生じることは決して好ましいとは思えず,実際当院を退院して近医を受診するまでの間に眼内炎を発症し,患者自身の判断で救急外来を受診したという例がある。東邦大学大森病院で1998~2009年に発症した術後眼内炎症例の発症までの期間について調べたところ,術後4~7日の間に発症した症例が14例中4例(28.6%)存在しており(図1),逆紹介により受診した診療所でいきなり術後眼内炎を発症している可能性は十分ある。年間約100万眼施行される白内障手術は,白内障手術を施行しない診療所や病院であっても周術期管理が必要とされる時代となったのである。
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