Japanese
English
連載 日常みる角膜疾患・79
角膜真菌症の検査法
Examination technique for keratomycosis
守田 裕希子
1
,
近間 泰一郎
1
,
西田 輝夫
1
Yukiko Morita
1
,
Tai-ichiro Chikama
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科眼科学
pp.1578-1581
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102885
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
症例
患者:13歳,男性
主訴:右眼痛,両眼そう痒感
既往歴:アトピー性皮膚炎
家族歴:特記事項はない。
現病歴:幼少時からアトピー性皮膚炎と診断されていた。2005年6月,右眼視力障害と両眼そう痒感のため近医を受診し,両眼とも春季カタルの治療を受けていたが,そう痒感の増悪と右眼の角膜上皮欠損拡大を認めたため,精査・加療目的で2006年3月30日に当院を紹介され受診した。抗アレルギー薬,ステロイドで加療を行い,上皮欠損は徐々に縮小していた。9月10日頃から右眼の眼痛が出現し,9月18日から眼脂が出現してきたため,9月21日に再受診した。
再診時所見:視力は右0.08(矯正不能),左0.7(1.0),眼圧は右10mmHg,左14mmHgであった。右眼は辺縁不整の上皮欠損があり,融解傾向を認めた(図1)。中等度の毛様充血がみられたが,前房内炎症はなかった。角膜上皮擦過物の検鏡ではフェイバーG®染色(グラム染色)でグラム陽性球菌と酵母を含む菌体が確認され(図2),細菌培養検査からはCandida albicansとMSSA(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus)が検出された。
治療経過:検鏡所見からMSSAと酵母菌の混合感染の症例と考え,抗真菌薬と抗菌薬の全身および局所投与を行い,加療を開始した。治療開始から4週間後に感染は鎮静化した。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.