書評
医療事故初期対応
中西 成元
1,2
1虎の門病院
2シミュレーション・ラボセンター
pp.781
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102723
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虎の門病院泌尿器科小松秀樹部長の危惧した「医療崩壊」は現実のものとなりとどまるところを知らない。彼は「最も大きな問題は,医療は本来どういうものかについて患者と医師の間に大きな認識のずれがあることである」としている。「具体的対策を考える前に総論で認識を一致させる努力が必要であり,一致できなくとも,どのように認識が違うかを互いに理解する必要がある」と述べている。医療事故とその後の対応で患者さんの医療に対する不信を強めたことは疑いない。これまでの医療の安全対策や事故後の対応などには大きな問題があった。
今回『医療事故初期対応』という本が出された。本書の「はじめに」に「医療事故が発生した場合,それが真に解決されるか,あるいは紛争・訴訟へと発展するかは,行った医療行為に過失があったか否かということよりも,事故の現場保存・原因究明から始まる一連の初期対応が適切に行われたかどうかに大きく影響されるように思われる」と記されている。このことは疑う余地はない。
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