Japanese
English
特集 糖尿病の眼合併症
糖尿病と網膜硝子体―病態
Diabetes and retina-vitreous―Pathogenesis
山本 禎子
1
Teiko Yamamoto
1
1山形大学附属病院眼細胞工学講座
pp.1822-1827
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102532
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
近年,糖尿病はさらに増加している。厚生労働省の平成14(2002)年度糖尿病実態調査報告によると,糖尿病有病者の推計は,糖尿病が強く疑われる人が約740万人,糖尿病の可能性を否定できない人が約880万人で,合計約1,620万人が糖尿病の可能性を有していることがわかった。平成9(1997)年度の同実態調査報告では,糖尿病が強く疑われる人が約690万人,糖尿病の可能性を否定できない人が約680万人,合計約1,370万人であったので,わずか数年の間に約250万人増加したことになる。
糖尿病網膜症は糖尿病の重大な合併症の1つであり,視力を失うことは大きなquality of lifeの低下につながる。治療技術の進歩により失明に至る症例が減少したことで,わが国における失明原因の第1位を緑内障に譲ったが,糖尿病の増加が糖尿病網膜症の増加を招来することは必至であると考えられる。
本稿では,現在考えられている糖尿病網膜症の病態や治療について,分子病態と臨床像からアプローチする。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.