特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(2)
専門別研究会
オキュラーサーフェス(ドライアイ研究会)
横井 則彦
1
,
後藤 英樹
2
1京都府立医科大学
2鶴見大学歯学部眼科
pp.577-579
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102212
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本年度のドライアイ研究会では,ドライアイに精通している人なら誰でもその存在を知っており,しばしば治療に難渋するBUT(breakup time:涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ(以下,short BUTドライアイ)がテーマとして取り上げられた。このドライアイの1型,疑い,あるいは亜型(角結膜上皮障害がみられない例も多く,そのような例ではドライアイの診断基準を満たさない)の典型例は,①極端に短いBUT,②角結膜上皮障害はないかあってもきわめて軽微,③強い眼不快感を訴える(乾燥感が強く目を開けていられない),④涙液貯留量や反射性涙液分泌量(SchirmerⅠ法)は正常,⑤点眼治療で効果のある例は少なく,しばしば上,下の涙点プラグ挿入が行われ,流涙があっても強い乾燥感よりはましということで経過観察されている,といった特徴がある。
興味あることに本疾患は,わが国では非常に注目されているが,世界的にその疾患概念が認められているわけではない。それは,わが国ではドライアイの中心メカニズムとして涙液の安定性(フルオレセインの破綻という目で見える指標)が重視されているのに対し,欧米では浸透圧上昇と炎症が重視されてきているというスタンスの違いによるものかも知れない。いずれにしても,ドライアイの専門家が最も苦戦を強いられる疾患の1つである本疾患が初めて研究会の舞台に取り上げられたことは喜ばしいことである。戸田郁子先生らが最初に報告された当初は,本疾患とアレルギー性結膜炎との関連が議論されたが(Toda I et al:Ophthalmology 102,1995),はたして今回,どんな知見が得られたのであろうか。
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