今月の表紙
Stargardt病―黄色斑眼底Ⅰ群
福井 勝彦
1
,
根木 昭
2
1旭川医科大学眼科
2神戸大学眼科
pp.21
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102103
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症例は8歳,男児。小学校入学前は視力良好(右1.2,左2.0)だったが,入学後より視力低下のため近医を受診した。色覚異常と眼底の黄斑部に変性を認め,精査目的で当科を受診した。視力は右0.06(0.1×-1.50D),左0.1(0.4×-0.50D)であった。眼圧は左右ともに16mmHg,眼位・眼球運動に異常はなかった。前眼部・中間透光体に異常は認められなかった。両眼の黄斑部に縦2乳頭径,横3乳頭径の大きさで灰色の金属様反射(beaten bronze atrophy)の変性萎縮病変がみられた(写真a)。
フルオレセイン蛍光眼底造影は,網膜色素上皮細胞に蓄積したリポフスチンによる脈絡膜背景蛍光の遮蔽によるdark choroidで背景蛍光は全般に暗く,黄斑部は網膜色素上皮の変性萎縮により過蛍光(window defect)を示した(写真b)。インドシアニングリーン蛍光眼底造影では,両眼の黄斑部の変性萎縮病巣は造影早期から後期にかけてwindow defectにより脈絡膜中大血管が他の部位より明瞭に観察できた。視野検査で黄斑部の変性萎縮病変部位に一致した中心暗点がみられた。網膜電図はa波およびb波の振幅は低いが律動様小波に異常はなかった。
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