書評
眼科手術入門
本田 孔士
1
1大阪赤十字病院
pp.1995
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102065
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最近まれに見る,大変に親切な,こころの行き届いた眼科手術の入門書である。手術の心構え(皆さん,ついつい忘れていませんか)から始まり,手術環境の整備,消毒などの術前準備,手術の基本手技,基本操作,closed eye surgeryの要点,そして麻酔を扱った前半の第1部「手術の基本」が特に優れている。
20~30年前の顕微鏡手術導入期の本には,確かにこのような記載があったが,最近の手術書に,しばしば欠けている部分である。何をやるにしても大切なのは基本である。基礎がしっかりしていないと,いくらやっても大成しない。最近の教育一般を見ても,基本に関する指導が足りないから,礼儀,挨拶などのできないような,変な社会人ができてしまう。基本は,初心者の時に,徹底的に習慣として体で覚えておかなければならない。学会で手術ビデオを見ていると,かなりアドバンストな人で,ここに書かれているような基本手技のできていない人がいる。恥ずかしいことであり,悪い癖になっていて,年季の入った人ほど修正が効かない。そのような意味で,中堅の人にも,さっと一度は目を通してもらいたい本でもある。
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