連載 あのころ あのとき 35
医への道のり(2)
佐野 七郎
1,2
1日本眼科医会
2佐野眼科
pp.1674-1676
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101490
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医学部での思い出
東京慈恵会医科大学(以下,慈恵医大)に入学してから,生まれて初めて徹底的に勉強した。病気のこともあって無理はできないので,それまでしたことがない予習,復習をすることにした。夜は10時に寝て朝は6時に起き,予習を2時間,復習を2時間,徹底的にやった。こうしてはじめて勉強の面白さを知ると,先生の話すひと言ひと言が私の脳の中に刻まれていくような気がした。
部活動では結核研究会に入り,キャプテンになった学部3年のとき,京都府立医科大で行われた全国医学生ゼミナール大会で,慈恵医大の発表が特別研究に選ばれた。大講堂で私は胸を張って,蛍光顕微鏡を使用して部員30人で共同研究した「山手線ホームのスプータの結核菌検出について」を発表し,反響を呼んだ。夜行列車で大騒ぎして「静かにしろ」と怒鳴られたこと,一泊二食付き100円だったか,安いお寺で雑魚寝したこと,一学年下に祇園の一力のお嬢さんがいて「どうぞ」と言われて門を潜ったが,いくら取られるのかと恐れをなして一同早々に退散し,宿についてから「ただだったかもしれないな」と皆で残念がったことなど,忘れ難い思い出となった。
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