特集 眼感染症診療ガイド
II.診断・治療のポイント
ぶどう膜・網膜
急性網膜壊死
丸山 耕一
1
1若草第一病院眼科
pp.212-217
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101457
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はじめに
ヒトヘルペスウイルス属,特に単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)と水痘・帯状疱疹ウイルス(varisella-zoster virus:VZV)は,急速に進行・増悪する網脈絡膜炎の1つである急性網膜壊死(acute retinal necrosis:ARN)に深く関与するウイルスとして知られており1,2),さらに原因ウイルスの違いによって病態に相違がみられる3)。抗ウイルス薬,光凝固術や硝子体手術による治療が主となるが,早期発見と診断がその予後を左右するといっても過言ではない。昨今の分子生物学的手法によって容易かつ迅速な原因ウイルスの検索が可能となったが,未だ良好な視力予後を得るまでに至らない例も多い。急性網膜壊死に加え,極めて稀ではあるがAIDSなどの免疫不全を有する患者が,同じヘルペスウイルス感染を原因とする進行性網膜外層壊死(progressive outer retinal necrosis:PORN)に罹患することもある。
本項では,急性網膜壊死の基礎的研究から実際の臨床における診断や必要な検査法,鑑別すべき疾患,そして治療手段と予後について述べてみたい。
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