特集 眼感染症診療ガイド
II.診断・治療のポイント
眼瞼・涙器・眼窩
涙小管炎
栗橋 克昭
1
1栗橋眼科
pp.107-113
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101427
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はじめに
涙小管炎1~10)(canaliculitis,図1,2)についてはその原因菌が精力的に追究され研究されているのは,涙小管炎が稀な疾患というだけでなく,従来の鋭匙による涙小管掻爬では涙石を取り残し再発することが稀でないという実情が関係しているであろう。KMTS(Kurihashi's multiple traction sutures)11,12)(図1c~f,2,3)をかけて涙小管水平部を切開し,その開いた部分からも涙石を直視下で完全に除去することが容易にできるようになった。涙石を完全に除去すると,どのような菌であれ涙小管炎は治癒し再発しなくなる。原因菌に対する追究,保存的治療,涙小管掻爬の繰り返しにこだわらず,KMTSをかけ直視下で完全に涙石を除去する必要がある。
本項においてはKMTSだけでなく,診断の一助として綿糸法,濾紙法,TMH,色素残留テストからなる精密涙分泌テスト10)を行い涙分泌速度だけでなく導涙速度(導涙機能)もチェックすることが重要と考えられるので,それについても触れる。
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