症例
陶器様卵巣:びまん性石灰化皮様嚢腫の1症例
浜本 鉄也
1
,
岡田 清
2
,
宮川 昇
2
,
高橋 英彦
2
,
石川 みずえ
2
,
茂古沼 吉宗
3
,
小林 由子
3
1多摩南部地域病院検査科病理
2多摩南部地域病院婦人科
3多摩南部地域病院放射線科
pp.565-568
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905043
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患者は78歳,女性.腰痛を主訴に整形外科通院中,腹部単純X線写真で骨盤腔内に輪状石灰化を指摘された.当院婦人科紹介入院,術前のCTでは約9cm径の嚢胞性腫瘤で嚢胞壁はびまん性の石灰化,また内腔は脂肪と液体の2層性を示していた、付属器摘出術が施行され,術中診断は右卵巣皮様嚢腫で重さ375g,嚢胞内容には毛髪と脂質成分が確認された,病理組織学的所見は肉眼的には多房性の卵巣嚢胞で嚢胞壁は骨様あるいは陶器様に硬く触れ,また組織学的には嚢胞壁は瘢痕様の線維化およびびまん性に顕著な石灰化を示していた.
本例にみられるびまん性石灰化皮様嚢腫は,腹部単純X線写真および触診上,陶器様胆嚢にきわめて類似しており,本例を陶器様胆嚢に因んで陶器様卵巣と呼称することを提唱したい.また陶器様卵巣は皮様嚢腫のきわめてまれな合併症と考えられた.
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