連載 OBSTETRIC NEWS
緊急帝王切開—「30分ルール」を達成できるか?(2)
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.1276-1277
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904764
- 有料閲覧
- 文献概要
1.「30分ルール」を達成できるか?(Tuffnellら の研究)
研究対象となった病院の年間分娩数は約5,500例で,緊急帝王切開(帝切)率は9〜12%であった.調査期間を第一期(9〜11月/1993年:“緊急”≦30分,“準緊急”≦40分に分類),第二期(10〜12月/1995年),第三期(4〜6月/1996年:患者移送が最大の問題点)および第四期(5月〜/1997年)に分類した.第四期では非選択的帝切は1,344例に施行された.そのなかで“緊急”帝切は721例で(表1),決定から分娩まで30分以内だった例は478例(66%),40分以内が637例(88%)であったが,50分以上かかった例が29例(2%)あった.
患者入室までの時間が10分以内の場合は「30分ルール」が達成できた例が有意に増加することが示唆された(表2).特に緊急を要する例(“emergency”症例:胎児徐脈,臍帯脱出,器械的分娩不成功)では30分以内86%(表3),40分以内97%であった.緊急帝切の麻酔は,局所麻酔の安全性の増加が示唆されていて(Anesthesiology 86:277,1997/Anesthesiology74:212,1991),全身麻酔の際の挿管不成功が増加することが報告されている(Br J Anaesth 76:680,1996).
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.