連載 OBSTETRIC NEWS
緊急帝王切開—「30分ルール」を達成できるか?(3)
武久 徹
1
1武久産婦人科医院
pp.1278
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904765
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この2論文(本誌56巻9号p 1154,56巻10号p 1276-1277参照)に対し,Jamesは次のように論評を加えている.Fetal distress(筆者注:最近では使用されない用語になっているが,今回は原文のままとする)のための帝王切開(帝切)の場合,「30分ルール」が要求されるが,この「30分ルール」は産科医に対するムチである.分娩中の胎児低酸素症は約1%に発生し,妊娠1,000例中の胎児死亡は0.5,脳性麻痺は1である(BMJ 308:743,1994).しかし,分娩中の胎児低酸素症の原因はよく理解されていない.多因子(例:子宮胎盤血管性疾患,子宮灌流の減少,胎児敗血症,胎児予備能の減少,臍帯圧迫など)が原因で,ときにはそれらが重複していると思われる.
Fetal distressのための帝切のほとんどは,決定から娩出まで30分以上かかっているのが英国の現状であることが示唆されている(BMJ 322:1334,2001/J Obstet Gynecol 11:241,1991).
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