今月の臨床 ここまでわかる産婦人科のMRI
MRI診断の実際
7.胎児MRIの適応と有用性
山本 和宏
1
,
藤田 修
1
,
楢林 勇
1
,
折野 一郎
2
,
亀谷 英輝
2
,
植木 實
2
1大阪医科大放射線医学教室
2大阪医科大産婦人科学教室
pp.658-666
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904639
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はじめに
胎児の画像診断は超音波検査が安全性と簡便性より第一選択であるが,症例により観察が困難である.MRIは、以前は撮影時間が長く,胎動によるアーチファクトのために母体,胎児に薬物投与が施行されることがあったが,最近では超高速MRI撮像が可能となり,胎動によるアーチファクトがほとんどない画像得られるようになり,胎児MRI検査は幅広く胎児診断に用いられるようになった1).
超音波像ではacoustic impedanceの違いを利用しているが,MRIは組織の性質の違いを示して画像を描出している.超高速MRIは短時問に大きな画像として撮られるため胎児の体位を容易に把握でき,腸管,骨,胎児姿勢の影響も受けない.また,特に超音波検査にて観察困難な母体の肥満,羊水過少の状態,胎動にも影響されない.若干,羊水過多の時に胎児の動きが増えるため影響を受けるが,これに対しては1秒程度の超高速撮像にて対処している.また,MR fetography2)にてconventional aminofetographyに似た情報も得られるようなり,立体的に観察することが可能である.
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