今月の臨床 性感染症—胎児から癌まで
性感染症と産婦人科疾患
1.外陰・膣感染症の鑑別診断
菅生 元康
1
1長野赤十字病院産婦人科
pp.28-30
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904223
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はじめに
産婦人科疾患において,いわゆる性病(venerealdiseases:VD)の占める割合は低いものとかつては考えられていた.ところが性病が性感染症(sex—ually transmitted diseases:STD)として幅広く捉えられるようになり,産婦人科にSTD患者が多数受診していることが次第に明らかにされてきた.それらの中にはクラミジア感染症のように病原体検出法の進歩により感染患者が新たに診断されるようになったものもあるが,従来は別の疾病カテゴリーに属していたものがSTDと考えられるようになった疾患もある.その典型は異形成病変で,子宮頸部・腔・外陰を問わずその大多数は性器・粘膜型ヒトパピローマウイルス(humanpapillomavirus:HPV)感染によって引き起こされる組織異型であることが研究の過程で明らかにされた.つまり腫瘍性前癌病変とされていたものがウイルス感染症として見直されるようになったのである.このように産婦人科診療において現在STDの知識は不可欠であり,しかも常にrenewalされる必要がある.
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