今月の臨床 ART最新情報—妊娠率向上のために
凍結・胚移植・着床
4.Vitrification
向田 哲規
1
1広島HARTクリニック
pp.1410-1413
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904208
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来の凍結法に代わる受精卵(胚)の超低温保存法として,ガラス化法(Vitrification)が注目されている.ガラス化とは“液体が結晶化することなく粘性が高まり固化すること”を表した用語であり,このガラス化法による凍結は,植氷操作(seed—ing)や緩慢冷却が不要な簡便な方法であるのみならず,細胞内外の氷晶(intra-cellular and extra—cellular ice crystal formation)に由来する物理的・化学的傷害がないため,生存性維持の面からも利点を有しており,既に多くの動物種の胚においてその有効性が証明されている.しかし,高濃度の耐凍剤を使用するため,それによる毒性が細胞に傷害をもたらす点や,その他にも,従来の凍結法と同様に,細胞内凍結,フラクチャー,浸透圧的膨張によっても傷害を受ける可能性がある.これらの要因を最小限にすることによって,優れたガラス化法を確立することができる.現在までに胚のガラス化法に関しては多くの報告が見られるが,研究者によって手法にかなりの違いが見られる.本論文では,ガラス化法の原理について概説し,ヒト受精卵における臨床応用について述べる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.