連載 OBSTETRIC NEWS
吸引分娩再考
武久 徹
pp.1136-1137
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904143
- 有料閲覧
- 文献概要
器械的分娩として鉗子分娩または吸引分娩が採用され,帝王切開(帝切)率の減少に貢献している.鉗子分娩に関しては,米国産婦人科学会(ACOG)から詳細の留意事項が紹介され,吸引分娩に関する見解も示されているが,吸引回数,何回までの滑脱に耐えられるか,合計吸引持続時間などに関するコンセンサスはないことが紹介されている(ACOG Tech Bull#.196,1994).
吸引分娩の結果,頭血腫の発生率は6%(自然経腟分娩の場合は2%)である.頭血腫の5%にヘアライン頭蓋骨骨折が発生する.さらに重篤な合併症である帽状腱膜下血腫は,吸引分娩の0.6%に発生する.その他,裂傷,高ビリルビン血症,網膜出血,肩甲難産なども発生する.吸引分娩の結果,発生する重篤な合併症(帽状腱膜下血腫,頭蓋内出血,永久上腕神経叢麻痺,死亡など)は1%以下である.最近,米国食品医薬品局(FDA)から,吸引分娩に関する警告が紹介され,異論も唱えられている.本稿では,FDAの勧告とACOGの見解を紹介する.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.