今月の臨床 思春期外来—診療上の留意点
総論
4.思春期の心理
宮本 信也
1
1筑波大学心身障害学系
pp.1081-1083
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904126
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はじめに
思春期の子どもたちが示す心理的問題は,発達する過程での正常の悩みから精神病レベルのものまで多彩である(表1)1,2).しかも,個人の間で病状が多彩であるだけでなく,その多彩な病状が一人の患者の中で変化してみられるという特徴がある.このような二重の多彩さが,思春期の子どもたちの示す精神的問題を理解することを困難にしている.
思春期の子どもたちが示す通常の悩みから精神病様の状態までのこうした心理的混乱状態は,思春期の心理的特性と身体的特性を背景としていると考えられることが多く,しばしば思春期危機という用語で呼ばれる.したがって思春期心性の特徴を理解することが,この年代の子どもたちの心理的問題を理解する鍵となる.ここでは個々の心理的問題を理解するための基本となる思春期の心理的特性について述べる.
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