原著
妊娠浮腫に対する柴苓湯の効果—生体インピーダンス法を用いた評価
武内 享介
1
,
村田 一男
1
,
舟木 馨
1
,
藤田 一郎
1
,
早川 陽子
1
,
船越 徹
2
,
森田 宏紀
3
1済生会兵庫県病院産婦人科
2加古川市民病院産婦人科
3国立神戸病院産婦人科
pp.950-953
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904095
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生体の水分量が増加すると電気抵抗が減弱することを応用した生体インピーダンス(BI)法を用いて,妊娠中の浮腫に対する柴苓湯の効果を定量的に評価した.妊娠中期以降に浮腫を発症した症例を対象とし,4電極法であるタニタ社のTBF40lを使用,妊婦健診時にBI値を測定した.柴苓湯投与直前のBI値の低下は,浮腫悪化群で浮腫改善群,浮腫不変群に比して有意に大きかった.柴苓湯投与開始時のBI値は改善群で他の2群に比してやや低値を示した.柴苓湯投与前のBI値は悪化群において,正常下限を推移した改善群に比して高値を示した.以上の結果より浮腫に対する柴苓湯の効果は浮腫の程度とは無関係であるが,急激に発症する浮腫に対しては無効であることが明らかとなった.また柴苓湯が有効である症例は,柴苓湯が無効な症例より浮腫発症前における水分の貯留傾向が強く,従来より漢方でいう「水毒」と浮腫を中心とした妊娠中毒症との関連が示唆された.
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