連載 Estrogen Series・42
低力価エストロゲン(エストリオール)は子宮内膜癌を増加させるか?
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.940-941
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904093
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ホルモン補充療法(HRT)のための使用薬剤は,米国では結合型エストロゲン(conjugatedestrogen)かエストラジオール(estradiol)の使用が主流である.しかし,ヨーロッパ,特に北欧ではより力価(potency)の低いエストリオール(estriol)の使用が拡大しているらしい.しかも,エストリオールはその低力価のゆえに,内膜増殖を引き起こすことなく安全に使用できる,と一般的に考えられている1〜3).エストリオールに比較してより力価の高い結合型エストロゲンやエストラジオールの単独使用では子宮内膜腺癌(adenocar—cinoma)の発生増加は疫学的に実証されている.その使用に際しては内膜癌の予防策として,かならずプロゲスチンを併用するのが鉄則である.それでは,エストロゲン力価のずっと低いエストリオールを使用した場合には内膜の増殖は起こらないのだろうか?
エストリオール単独使用に伴う内膜癌の発生増加はないのだろうか,エストリオールのような低力価エストロゲンに関しては,いままで十分な疫学的検証がなされていないのが現実である.この疑問に答えるためにスエーデンのカロリンスカ研究所を中心とした著者らはcase-control studyを行ってみた.
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