今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
思春期
1.思春期発来のメカニズム
矢内原 巧
1
1昭和大学医学部産科婦人科
pp.332-337
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903976
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思春期を特徴づけるのは生殖能の獲得,すなわち性的発育であり,またこの時期には第2次発育急進期といわれる身体の著しい成長がある.この両者は密接な関係があり,その背景には間脳—下垂体—性腺系を中心とした内分泌学的機能の変化が存在することは論をまたない.しかし内分泌学の進歩によって,現象としての生体の内分泌動態は明らかになってきたにもかかわらず,思春期発来の機序に関する知見はいまだ推論の域をでない.しかし,近年neuropeptide Y(NPY)や脂肪細胞由来のleptinなど摂食中枢に関与するホルモンが性機能に深くかかわっていることが明らかとなり,これらの物質と思春期発来との関係が論ぜられるようになった.
本稿では思春期に起こるさまざまな内分泌変化のなかから思春期発来の機序について,これまでの知識を整理するとともに近年の知見について考察を加えたい.
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