今月の臨床 ホルモン療法のピットフォール—あなたの方法は間違っていませんか
更年期・老年期
3.HRTの禁忌症例は
石丸 忠之
1
1長崎大学医学部産婦人科
pp.160-163
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903930
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HRTの禁忌症例については経口避妊薬oralcontraceptive(OC)とよく混同される.この理由は両者ともに同じような性ステロイド剤が使用されていることから,両者の生物学的作用はほぼ同じであると考えるからである.1999年の秋より発売された低用量ピルには17の禁忌事項が挙げられているので,HRTにおいても多くの禁忌事項が存在するであろうと考える人はけっして少なくない.しかしHRTとOCでは使用されるestro—gen (E)とprogesterone(P)の性質が異なるので,結果として異なる生物学的作用が生じるのである.
HRTに用いられるEはnon-alkylated Eとよばれるもので(conjugated equine estrogenやestradiol),一方,OCにはalkylated Eであるethynylestradiolが用いられている(図1).non—alkylated Eはalkylated Eと比較して,心血管系,脂質代謝および糖代謝に対してよりよい影響を与える1-3).またP剤もHRTとOCでは異なり,HRTでは17—OH-P系(medroxyprogester—one acetate:MPA)が,一方,OCでは男性ホルモン作用をもつ黄体ホルモンである19—nortes—tosterone系が用いられている.
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