症例
緊急搬送された卵巣妊娠破裂の1例
小原 範之
1
,
新谷 潔
1
,
寺本 憲司
1
,
塚本 澄子
2
,
鷹井 敏子
2
,
近藤 さおり
2
,
三村 恵子
2
1甲南病院産婦人科
2甲南病院中央検査部(病理)
pp.1329-1331
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903813
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近年,尿中低単位hCGの測定,超音波断層法,MRIおよび腹腔鏡下手術の普及により子宮外妊娠は破裂前に診断し治療を行うことが可能になってきた.しかし,突然の下腹部痛,性器出血や腹腔内出血によるショック症状を呈して他科から搬送される症例もあり,本疾患が産婦人科救急疾患であることに今も変わりはない.今回,われわれは内科から搬送された左卵巣妊娠破裂の症例を経験した.来院時にすでに腹膜刺激症状を認め,hCGテストパックは陽性でダグラス窩穿刺にて血液を吸引したため子宮外妊娠の診断にて緊急手術を施行した.腫大した左卵巣に付着した凝血内に胎嚢を確認し,これを除去した部位はクレーター状に陥没し,この部から出血を認めた.卵巣妊娠破裂の診断にて左卵巣楔状切除術を施行したが,病理組織学的に黄体とともに絨毛組織を認め,卵胞外卵巣妊娠と診断した.卵巣妊娠では将来の妊孕性を考慮した治療が肝要であると考えられた.
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