今月の臨床 胎児へのlife line臍帯
臍帯の基礎
2.臍帯血管内皮細胞の役割
高木 耕一郎
1
,
村岡 光恵
1
,
黒島 淳子
1
1東京女子医科大学附属第二病院産婦人科
pp.889-891
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903703
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臍帯は胎盤を母体・胎児間のインターフェースに例えると,胎盤と胎児をつなぐライフラインということができるが,その機能については明らかにされておらず,成書をみても解剖学的な記載にとどまっている.一方,近年,内科を中心として血管内皮細胞の役割に関する研究が長足の進歩を遂げているが,それら研究の多くにおいてヒト血管内皮細胞として培養ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(human umbilical vein cells:HUVEC)が用いられている.したがって,これらの研究より得られた結果は,正しくは胎児,それも臍帯という特殊な構造に含まれる血管内皮に関するものであることは興味深い.現時点では,これまでにHUVECを用いて得られた知見が,すべて胎児期,あるいは胎児循環における臍帯血管内皮細胞の機能を反映しているかどうかは定かではないが,本稿ではとくに血管収縮に関与する因子について概説したい.
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