今月の臨床 卵巣がんと闘うために
治療
1.予後因子
渡部 洋
1
1近畿大学医学部産科婦人科
pp.810-812
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903684
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卵巣癌は,早期にはほとんど自覚症状を欠き,またその解剖学的存在位置が骨盤深部の腹腔内であるため,腹腔内腫瘤として発見されたときにはすでに進行癌であることが多い.卵巣癌化学療法の中心的薬剤であるCDDPの出現や,手術不能症例に対するneoadjuvant chemotherapyによるdown stagingの試み,あるいは近年のtaxan系抗癌剤を初めとした新規抗癌剤の開発など,卵巣癌の長期予後改善のための努力が行われているものの,現在のところ卵巣癌症例全体の5年生存率は約40%前後にとどまっており,発生頻度の増加している昨今の傾向を考慮すると,卵巣癌は早期診断法の確立を含めたさらなる予後改善の努力を要する婦人科癌である.そこで,卵巣癌治療の重要な指標である予後因子について,主に組織型,進行期および抗癌剤に対する感受性の面から文献的考察を含めて解説する.
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