連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
TCRにおける子宮腔内明視法について—ネラトンドレナージ法の考案
佐藤 賢一郎
1
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
pp.325
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903581
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近年,粘膜下筋腫,内膜ポリープに対して経頸管的切除(transcervical resection:以下,TCRと略す)が行われるようになってきた.直視下に切除するため茎を含めた完全切除が可能で,止血操作も行える.筆者もここ数年来は,粘膜下筋腫,内膜ポリープに対し盲目的な切除を止め,TCRを行っている.
TCR施行に際しての問題点として,切除手技そのものは症例を重ね熟練するしかないが,その他日常筆者がTCR施行に際して最も苦慮するのは頸管拡張である.通常,前日入院とし,夕方,ダイラパン太1本を前処置として挿入しているが,太が挿入不可の場合は細1本挿入し,翌日(手術当日)朝,太2〜3本入れ替え,午後の手術としている.通常,前日挿入したダイラパン太1本で十分な頸管拡張が得られ,レゼクトスコープが挿入可能となり,さらにレゼクトスコープと頸管の間の間隙より灌流液が流れ出て視野を確保してくれる.ところが,未産婦人,若年者,高齢者では頸管が狭小で,これら前処置でも十分な頸管拡張が得られない場合がある.術中にヘガール拡張を行っても十分でなく,レゼクトスコープは挿入可能なものの,頸管との間の間隙がないため,灌流液が子宮腔内に停滞したままで視野が確保できないことになる.
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