総説
もやもや病と妊娠
小宮山 雅樹
1
,
松尾 重樹
2
,
安井 敏裕
1
,
北野 昌平
3
,
坂本 博昭
3
1大阪市立総合医療センター脳神経外科
2大阪市立総合医療センター産婦人科
3大阪市立総合医療センター小児脳神経外科
pp.1543-1548
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903495
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
もやもや病患者の合併妊娠について臨床的検討を行った.対象は,過去報告のあった56例の女性もやもや病患者である.妊娠出産前に,もやもや病と診断された患者(既知もやもや病患者)が31人,妊娠に際して初めて症状を出し,もやもや病と診断された患者(初発もやもや病患者)が25人あった.この2群は,ともにもやもや病であるが,その臨床経過や病態は異なっていた.もやもや病患者において,妊娠が脳血管障害のリスクを上げるという証拠やバイパス手術がそのリスクを下げるという証拠はなかった.患者や児の予後不良な症例の多くは,初発もやもや病患者における脳出血によるもので,脳虚血によるものではなかった.血圧の管理は重要で,とくに妊娠中毒症を予防する必要があると考えられた.出産は帝王切開でも経腟分娩でも比較的安全に行え,麻酔方法は,低二酸化炭素,低血圧,高血圧を避ければ,どの麻酔方法でも可能と考えられた.経口避妊薬は避けるべきである.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.