症例
卵巣類皮嚢胞腫の悪性変化の2症例
川口 龍二
1
,
阪倉 滋是
1
,
伊藤 彰子
1
,
斉藤 謙介
1
,
宇多 弘次
2
,
石橋 芳元
2
,
安達 進
3
1富田林病院産婦人科
2富田林病院病理部
3兵庫医科大学産婦人科
pp.1103-1106
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903385
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卵巣類皮嚢胞腫の悪性転化は非常に稀であり,予後不良と考えられている.今回,われわれは類皮嚢胞腫由来の扁平上皮癌を2例経験したので報告する.症例1(63歳,P2G1)は,下腹部痛を主訴に当科を受診した.類皮嚢胞腫の疑いで,単純子宮全摘,両側付属器摘出術を施行した.術後診断にて類皮嚢胞腫の悪性転化(pTIapNxpMO)と診断した.8か月後,SLO(second look operation)にて,骨盤内リンパ節,傍大動脈リンパ節に転移を認め,術後,化学療法を施行したが,初診より10か月後に癌性腹膜炎にて死亡した.症例2(47歳,PIGI)は,下腹部痛を主訴にて当科を受診した.悪性卵巣腫瘍を疑い,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤内リンパ節郭清を施行した.術後,類皮嚢胞腫の悪性転化(pT3cpNIpMI)と診断した.術後,化学療法としてPEP療法を4クール施行したが,腹壁,傍大動脈リンパ節に転移巣を認め,初診より1年後に死亡した.
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