今月の臨床 サイトカインと産婦人科
婦人科腫瘍とサイトカイン
4.G-CSFとM-CSFおよび婦人科腫瘍とサイトカイン
西田 敬
1
1久留米大学医学部産婦人科
pp.1088-1090
発行日 1998年8月10日
Published Date 1998/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903378
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抗癌剤と副作用
この20年程度の間に固形癌の治療においても抗癌剤が使用されるようになってきている.とくに婦人科領域では,かつては効果が期待できないとされていた子宮頸癌や体部癌にも積極的に応用されていることは周知のとおりである.もとより本質的には細胞毒性を有する薬剤であり,分裂期に毒性を発揮することから正常組織への副作用も避けられない.とくに,細網内皮系や生殖細胞など,細胞分裂が活発な細胞は最も薬剤の攻撃を受けやすいことが知られている.
抗癌剤の副作用は発現時期から3段階に分けられる.①直後から24時間以内にみられる悪心,嘔吐,ブレオマイシンによる発熱あるいは薬剤の血管漏出による周囲組織の変性,壊死などが含まれる.②数日から数週以内の早期にみられる白血球減少や血小板減少などの骨髄機能障害は,多くの薬剤の投与量の規定因子となっている上この他にも,貧血やシスプラチンによる腎機能障害,聴力障害,ビンカアルカロイド,パクリタキセルによる末梢神経障害,ブレオマイシンによる肺線維症は注意すべき副作用である.③薬剤投与後,数か月から数年かけて発症する晩期副作用としては肺線維症,肝機能障害,性腺機能障害,あるいは白血病などの二次的発癌が知られている.
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