今月の臨床 難治性細菌感染症
婦人科の難治性感染症
3.偽膜性大腸炎
日浦 昌道
1
1国立病院四国がんセンター婦人科・臨床研究部
pp.922-924
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903332
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偽膜性大腸炎は抗生物質の投与中あるいは投与終了後に下痢を主症状として発症する腸炎で,菌交代現象によって腸内細菌叢のバランスがくずれ,Clostridium difficile(C.difficile)の異常増殖と,その産生するtoxinによる腸管粘膜の損傷をきたす疾患である,あらゆる抗生物質が原因となるが,lincomycin, clindamycinや使用頻度の高いcephem系,penicilin系抗生物質に比較的多くみられる.また,抗癌剤,抗真菌剤,抗結核剤などでも惹起され,とくに婦人科悪性腫瘍の化学療法の際には注意する必要がある.最近,本菌による院内集団発生が問題となっており,感染予防対策が望まれる1).
本稿では,偽膜性大腸炎の臨床像や検査・診断・治療指針を中心に述べてみたい.
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