連載 Estrogen Series・25
ホルモン補充療法が更年期後女性の姿勢バランスに与える影響
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.360-361
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903218
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更年期後に起こる骨喪失は,最終的に前腕,脊椎,大腿骨近位部などの骨折率を増大させる.骨折リスクはオステオポローシスのみによるのではなく,姿勢反射やバランス感覚が障害されて転倒が起こりやすくなることによりさらに増大する.
ヒトが2本足で立ち,バランスを保って歩行するのは,3種の重要な「受容器」からの複雑な情報を総合することによる.耳の前庭部では頭部の位置とその動態をとらえる.視覚は前庭部の情報と総合される.筋と腱にある固有受容体(pro—prioceptive)や体感覚システム(somatosensorysystem)は筋や腱からの張力の変化をとらえる.これらの情報はおもに小脳と脳幹部で総合され,運動器に指令が送られ,体位の変化はたえず矯正され,バランスが保たれる.
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