今月の臨床 妊娠初期を診る
妊娠の診断はどうするか
5.子宮外妊娠の診断をどうつけるか
井坂 恵一
1
1東京医科大学産婦人科
pp.1038-1041
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903051
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子宮外妊娠の診断は産婦人科における疾患のなかでも,その特徴的症状などから一般に容易であると考えられてきた.しかし実際には診断が容易に行えるのは,妊娠部の破裂や流産により腹腔内に大量の血液が貯留し,下腹痛やショックなど,ある程度の典型的症状がすでに出現している場合であり,破裂前や陳旧性の状態にある子宮外妊娠を診断することはなかなか難しい.ところが近年になり,経腟超音波装置が開発され様相が一変してきた.膀胱充満などの条件に左右される経腹超音波とは異なり,経腟超音波は子宮をより近い位置から観察することによって子宮内の妊娠を早期に診断することを可能にし,結果として子宮外妊娠も妊娠ごく初期の未破裂の状態において診断できるようになった.これに伴いその治療法に関してもMTXをはじめとする薬物保存療法1)や腹腔鏡下手術による低侵襲性手術2)など,多くの新しい方法が考案され行われるようになってきた.
本稿では,子宮外妊娠の早期診断には欠くことのできない経腟超音波とその確定診断に重要である腹腔鏡検査にスポットをあてて述べたい.
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