今月の臨床 婦人科における検査法—有用性と再評価
不妊
5.子宮内膜日付診をどう利用するか
高橋 真
1
,
深谷 孝夫
2
1東北大学医学部産婦人科
2東北大学医学部附属病院周産母子センター
pp.921-924
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903021
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子宮内膜の組織学的所見は,Schröder1)により1912年に卵巣機能と密接に関連があることが明らかにされた.すなわち,卵巣機能の周期的な変化と子宮内膜の組織像の周期的変化とが相関するというものである.その後,月経周期中の子宮内膜組織像の日変動が精密に検討された結果,子宮内膜組織像から排卵および月経との日数差を診断するという,子宮内膜日付診が1956年にNoyesら2)により確立された.
子宮内膜は,エストロゲンおよびプロゲステロンの標的器官であり,月経周期を通じて再生・増殖・分泌と,機能的,形態的にダイナミックな変化をきたす.そのうち黄体期における内膜の分泌化は,増殖期の十分なエストロゲンのプライミングに引き続きプロゲステロンが作用することによって起こる.すなわち,分泌期の子宮内膜組織診は,エストロゲンとプロゲステロン分泌,ひいては黄体機能を反映するという点で診断的意義がある.
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