連載 病院めぐり
社会保険広島市民病院
吉田 信隆
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1社会保険広島市民病院
pp.877
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903009
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社会保険広島市民病院は,昭和27年8月,原爆で廃墟となった広島の復興と医療および社会保険の充実を目指し,厚生省が建て,その運営を広島市に移管した病院です.病院の北には広島城を臨み,原爆ドーム,平和公園も約10分の徒歩圏内にあるなど,広島市の中心に位置しています.現在の総病床数は825床で,診療科目は25科,産婦人科は産科34床および婦人科50床の計84床で運営しています.産婦人科のスタッフは常勤医6名と研修医2〜3名で構成されています.岡山大学との関係が強く,産科・婦人科悪性腫瘍,内視鏡手術,そして不妊症のそれぞれの専門家によるバランスのとれた診療を行っています.年間手術件数は900例あまり,分娩数は約1,000例です.
産科関係としては母体搬送が一般化し,ハイリスク妊娠の外来紹介が増加しており,年間百数十例の母体搬送があります.当院では,品胎妊娠では妊娠初期に頸管縫縮術を,一絨毛膜双胎の双胎間輸血症候群では双胎間の卵膜の穿破を,妊娠中期胎胞脱出に対しては緊急頸管縫縮を行い,さらには胎児血流計測などもルーチンに行っています.このように積極的に診断・治療を行い,出生後の呼吸状態などを良くし,当院の未熟児センターとの協力で良い成績が挙げられているものと思っています.胎児治療も行っており,現在までに肺嚢胞の吸引,Rh不適合妊娠における胎児交換輸血などを行っています.
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