連載 Estrogen Series・16
黄体ホルモンはどのようにしてHRTに伴う内膜癌を減少させるか?
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.634-637
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902956
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子宮摘除術後の更年期女性に対するHRTはエストロゲンのみで十分であるが,子宮があればエストロゲンには黄体ホルモン(以下,プロゲスチンズ=progestinsと記す)を併用しなければならない.今回は最近のContemporary OB/GYN誌に掲載されたreviewをご紹介する.以下にその要旨を記す.
子宮内膜にエストロゲンのみを作用させると,エストロゲン受容体が増加し,内膜の増殖が起こるが,プロゲスチンズを与えるとその増殖は抑制され,最終的に内膜癌の発生を減少させる.プロゲスチンズには,同時に内膜の分化(differentia—tion)と脱落を促進させる作用がある.そのような抗エストロゲン作用は,一部には内膜中のエストラジオール受容体の減少による.また,プロゲスチンズはエストラジオールをより活性の低いエストロンに変換する特定の酵素(estradiol 17—beta-dehydrogenase)を増加させる作用がある.
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