今月の臨床 新生児診療—産科医のためのポイント
新生児適応障害への対応
6.便秘と腹部膨満の診断と治療
嵩原 裕夫
1
1徳島大学医学部第1外科
pp.1162-1167
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902659
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新生児期早期の便秘は,胎便の排泄遅延として症状を呈してくる.すなわち,新生児は出生後まもなく無臭で暗緑色あるいは黒褐色を呈する胎便を排泄するが,この胎便は2〜3日排泄されたのち,哺乳が進むにつれ黄緑色の移行便を経て生後5日目頃に普通便となる.初回の胎便排泄が生後24時間以内にみられない場合を胎便排泄遅延として,消化管の奇形などの器質的疾患や胎便の性状あるいは炎症に起因するもの,腸管の運動機能障害などの疾患を疑い,精査を進めることが必要である(表).
本稿では,腸管壁内神経節細胞の先天性欠如あるいは形態異常に起因する腸管の運動機能障害によって発症するヒルシュスプルング病とその類縁疾患について述べる.
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