連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・9
肺の発生と組織分化
塩田 浩平
1,2
1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学)
2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター
pp.1105-1107
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902642
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胎生第4週の後半に,前腸の壁の一部が腹方へ向かって膨らみ,喉頭気管憩室(呼吸器憩室)lar—yngotracheal diverticulumを作る.これが喉頭,気管,気管支の原基である.したがって,これらの器官の内腔表面を覆う上皮はすべて内胚葉起源であり,その周囲の結合組織,軟骨,平滑筋は臓側板中胚葉に由来する.喉頭気管憩室は間もなく左右に枝分かれし,肺の原基である肺芽lung budを形成する(図1).
肺芽は周囲を包む間葉とともに発育し,原始胸膜腔のなかへ広がっていく.第5週終わりまでに左に3つ,右に2つの葉芽lobe bud(肺葉の原基)ができる(図2).第6〜7週には枝分かれがさらに進行して,右肺に10本,左肺に8本の区域気管支segmental bronchiができ,成人の肺に見られる気管支肺区域bronchopulmonary segmentsが形成される(図3).
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