今月の臨床 子宮内膜症—Controversy '96
子宮内膜症—Q&A
2.子宮内膜症の組織発生はどこまでわかったか—化生説,移植説
原田 省
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産婦人科
pp.15-17
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902375
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子宮内膜症は,腹腔鏡による診断法が普及するに伴い発生頻度が増加していること,新しい薬物療法が開発されたことなどから注目をあびる疾患となった.しかしながら,子宮内膜症の病因と病態に関してはいまだ不明な部分が多く,謎の疾患(enigmatic disease)と呼ばれている.本症は,表在性のブルーベリー斑が存在するだけの軽症例から,両側の卵巣にチョコレート嚢胞を伴いダグラス窩が完全に閉鎖されたfrozen pelvisを呈する重症例に至るまで,多彩な病態を呈する.本症の病因に関してはさまざまな説が提唱されているが,一元的な病因論によってこの多彩な病態を説明することには無理がある.本稿では,子宮内膜症の病因に関する現在の考え方を解説する.
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