産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
子宮全摘に使い勝手の良い止血鉗子
村上 弘一
1
,
荒木 克巳
1
,
寺田 督
1
,
井上 正樹
1
1金沢大学
pp.1296
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902279
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子宮全摘術において注意を要する部位は,基靱帯内の子宮動脈および子宮静脈とその近傍を走行する尿管の処理であり,この処理の良・不良により出血量の多寡や術中の尿管損傷の有無が決まってくると思われる.血管の結紮・切断方法は,基本的には周囲の結合組織を十分に剥離し血管のみを結紮した後に切断するものであるが,子宮全摘術での卵巣固有靱帯中の血管や子宮動・静脈の結紮・切断においてはある程度の結合組織を付けたまま種々の圧挫鉗子を用いた集束結紮で行われることが多い.
当科では,集束結紮の際に用いる圧挫鉗子としてライビンガー社(Leibinger,西ドイツ)の子宮摘出用止血鉗子を使用している.この止血鉗子はペアン鉗子を改良し,保持部位の中央に深い縦方向の特殊な歯型が組み込まれている.この縦方向の歯型より,組織の滑脱を防ぐことが出来るわけである.また把持がしっかりしている反面,腰の粘りもあり,使い勝手のよい鉗子である.この鉗子には,長さが16.5cm,18.5cm,20.5cmと3種類のものがあり,骨盤内の深さに応じて使い分けを行っている.集束結紮を行う場合に困ることは切断端の滑脱であるが,種々の圧挫鉗子(万能鉗子,コッヘル鉗子など)では時々滑脱が生じ,思わぬ出血をまねくことがあった.
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