カラーグラフ 微細血管構築とコルポスコピー・4
炎症
奥田 博之
1
1岡山大学医学部産科婦人科学
pp.796-797
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902168
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慢性の炎症が存在すると,扁平上皮基底膜直下の毛細血管網から上皮側に向かってヘアーピン様の突出血管が認められるようになる.図1は慢性のトリコモナス腟炎症例のコルポスコピー所見である.均等かつびまん性に分布した赤点が多数認められる.同じ症例の血管構築像を図2,3に示した.毛細血管網から上皮側に多数の血管が突出し,ヘアーピン様にあるいは多少のねじれをともないながら再び毛細血管網にUターンしているのが観察される.各突出血管間の距離も50〜150μとほぼ均一に分布している.コルポスコピーではこのヘアーピン様血管の先端部を赤点として把えているわけである.これら突出血管の先端部を拡大したのが図4,5である.直径約10μの毛細血管が最表層部でUターンし,ヘアーピン様形態をとっているのがよくわかる(図4).その表層部直径は20〜30μとほぼ均等である.他の部位の拡大では表層部で上下にうねりながら迂回している像も認められる(図5).いずれの形態にせよ,炎症において出現する上皮側の突出血管は1本1本が独立して整然とした形態で突出し,しかも,規則性を持って配列しているのが特徴であり,後述するNeoplastic changeに出現する突出血管が束になり,先端部では集塊を形成し,その大きさ,分布,配列,走行に不整を認める点で明らかに異なっている.
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